虻に刺されると、かなり痛いよね?
写真はウシアブ 『ご近所の小さな生き物たちフォト』
約2ヶ月ぶりの更新だーー
夏になると蚊とか虻とか蜂とか刺す虫がたくさん出てきて嫌ですよね。
特にこの時期はお盆が近いのでお墓参りに行くと墓地を虻がブンブン飛んでいて、刺されるんじゃないかとヒヤヒヤしちゃいます。
でも、蚊は刺されても痛くないのに虻に刺されたらなんで痛いんだろうって疑問に思ったことありませんか?
僕のこの疑問に答えてくれた一冊が『エリカ・マカリスター著 蠅(ハエ)たちの隠された生活』っていう本です。
エリカ先生のハエに対する愛情が詰まった本なんですよー。冒頭部分では『体のつくりに美を感じる』とか『カラフルな体は光を受けメタリックな輝きを見せ、翅(はね)はまるで真珠のような光沢を帯びた薄いヴェール』という感じで冒頭の1ページ目からハエに対する愛情満載で書かれています。
この本を読むまでは、ハエは『汚い虫』とか『自分の周りを飛び回るうるさい虫』としか感じていなかったのが、読んだあとはエリカ先生ほどハエを愛することは出来ないけど不快感がちょっとした好奇心に変わりました。
さて、本題の『虻に刺されるとなぜ痛いのか』っていうことですけど、血を吸う口が刺すと痛い形をしているんですよー。蜂と違って虻が刺すのは血を吸うためなので、蜂のようにお尻の針で刺すのではなくて口で噛むんです。
血を吸いたいところを噛んで、傷口から滲み出てきた血を吸うっていう方法をとっているから痛いんですよね。
そうすると虻の口にも肉食動物みたいな牙が付いているかっていうと、牙はついてないんです。
虻の口は先を鋭く研いだ刃物のような形をしていて、それを使って皮膚を切り裂くから痛いんです。
だから、虻に『刺された』って言うより『噛まれた』とか『切られた』って言う方が正確かも知れないですね。
虻が血を吸うのってオスとメスのどっちでしょうね?
虻も蚊と同じように血を吸うのはメスだけなんですよ。
メスには『産卵』という大切な役割がありますからね。虻の種類にもよるけど、アブ属とかキボシアブ属は1回の産卵で約500個の卵を何層か重ねて産むから大量の栄養が必要になりますよね。
その大事な栄養素っていうのが、タンパク質!!
卵を育てるのに必要なタンパク質は自然界には少なくて、草食の場合だと草には36%しかタンパク質が含まれていないからたくさん食べる必要がある上に、消化するのが大変で吸収するのにも時間がかかるから草食の道には進まなかったんでしょうね。
他の昆虫を食べた場合だと、昆虫の種類にもよるけど13〜77%のタンパク質を含んでいるから、タンパク源としては悪くないと思うけど、虻は昆虫食の道にも進みませんでした。
そうすると虻が大好きな哺乳類の血液にはどれだけのタンパク質が含まれているのか?
哺乳類の赤血球の96%がヘモグロビンとタンパク質で出来ているから、最高のタンパク源なんですね。赤血球にこんなにタンパク質が含まれていることをしったら他の物をタンパク源にしようとはなかなか思わないですよね。
メスが血を吸うのは、卵を産むためだろうなとは思ってたけど草とか他の昆虫よりも赤血球の方が多くのタンパク質を含んでいるっていことを知ってからは、子孫を残すために血液を狙うのは当然だろうなって感じですよね。
日本でも虻に噛まれると痛いとか痒いということで、虻は嫌だなと感じることがある思いますが、中南米では痛みとか痒さに加えて恐ろしい物を運んでくるということで嫌がられているんですよ。
その恐ろしいものっていうのが、ヒトヒフバエの卵!!
この卵がなんで恐ろしいのか?卵の運搬ルートを見てみるとわかるかも知れません。
☆ヒトヒフバエの卵の運搬ルート☆
①ヒトヒフバエのメスが中間宿主の虻の背中にまとめて卵を産む
②虻が血を吸うために人の上に降りると、虻の背中から人の皮膚に卵が落ちる
③最終宿主の人間の体温で卵が孵る
④幼虫たちが人間の皮膚を食い破って体内に侵入する
虻に血を吸われて痛くて痒い上に、全然知らない虫に皮膚を食い破られるって悲惨ですね(泣)
本にはヒトヒフバエの写真とか詳しい説明はないので、体内に侵入したらどうなるかは分かりませんが
恐ろしいですよね。
お盆休みや夏休み中に中南米へ行く際には、虻にはお気をつけください。
国内にいても虫にされれたら痒くなったり、傷口からばい菌が入ったりするので長時間外にいたり山に行ったりする場合はお気をつけください。
本当はもう少し書きたいですが、長くなってしまったので続きは次回にします。
最後までお付き合いありがとうございました。