昆虫の定義と繁栄の秘密その2
前回の記事では、昆虫は地球上にどのくらいの種類がいるのかとか、昆虫の定義について触れていきました。
今回は、昆虫の定義の中で体が『頭部』『胸部』『腹部』の3つのパーツにはそれぞれどのような役割があるのかと、昆虫がなぜ繁栄できたのかということを見ていきます。
それでは『頭部』『胸部』『腹部』について見ていきます。(腹部については後日加筆します)
頭部(上の図の緑枠):食べ物をとるための口器と視覚などの感覚器官が集まっている
○口と複眼がある
・口→種類によもよりますが、咀嚼(噛む)と吸汁(液体を吸い込む)をして食事をする器官です。
・複眼→視覚を確保するための目のことです。単眼もあります。
胸部(上の図の青枠):翅と脚があり移動のための器官が集まっています。
・昆虫を裏返すと胸部も三節に分かれており、その各節にそれぞれ一対ずつ脚がついています。
・昆虫繁栄の要因の一つである、翅も胸部にあり大部分の昆虫は二対四枚の翅があります。例外としてハエ目(双翅目→読み方:そうしもく)は翅が一対二枚です。
・余談ですがカブト虫を持ち上げる時に摘む、短い角も胸部についており、長い角は頭部についています。両方とも頭部についている角だと思っていたので、このことに気づいた時はかなり驚きました。
腹部(上の図の赤枠):呼吸、排泄、生殖のための器官が集まっています。
ここについては後日加筆していきます。
人間から見ると小さくと弱々しい昆虫も、体の構造を見ると素晴らしいです。
次は、昆虫がなぜ地球上で一番繁栄しているかのという秘密について見ていきます。
繁栄の大きな要因は翅の獲得と成長の過程で変態するという二つです。
まずは翅の獲得から見ていきます。
昆虫の99%は翅を持っており、空を飛ぶことがてきます。普段地面を歩いている蟻も繁殖の時期になると巣穴から飛び出して新しい巣を作ります。
昆虫の99%が飛び回っているから、虫が出る時期になると飛んでいる姿を見かけることが多いわけです。
昆虫はいつ頃から飛び始めたのかというと3億年前(カゲロウやトンボが飛び始めました)から飛んでおり、地球上で初めて空を飛んだ生物が昆虫です。
また、2億9千万年前には『メガネウラ - Wikipedia』という巨大なトンボが空を飛んでいました。この巨大トンボは翅を広げた大きさが70cm前後なので現代の地球にいたら恐怖を感じるかもしれません。この70cm前後という大きさは人間の新生児の生後5ヶ月から8ヶ月の平均身長に相当します。
腕に抱いてると我が子と同じくらいの大きさの昆虫が空を飛んでいるって考えるとかなりすごいかも。
翅を獲得したことによるメリットは以下の三つです。
⑴生活圏を広げられる
体が小さい昆虫が歩いて移動できる距離は短い上に時間もかかるけど、飛ぶことで地面の水平方向の移動だけではなく、木の上や山の上などの垂直方向にも移動できるようになりました。
移動範囲の拡大により、様々な環境への移動と適応が出来るように種の拡大に繋がりました。
⑵天敵から素早く逃げられるようになり、近縁ではない配偶者に出会えるようになった
⑶翅の色によって隠蔽できるようになった
・バッタの草むらのような形状で天敵から身を隠せるようになった
・毒を持つチョウの派手な翅は、毒を持つことを周りに示す警戒色
・甲虫の硬い翅は衝撃や乾燥から身を守る甲羅の役割を果たす
など、翅は飛ぶ以外の効果も効果を与え昆虫繁栄の要因となりました。
次は昆虫繁栄のもう一つの要因である変態についてです。変態とは成長過程で姿・形が変わることで、昆虫の約80%が完全変態をします。変態には完全変態の他にもいくつか種類があるので見ていきましょう。
○完全変態(カブト虫やチョウ等)
・約80%の昆虫が行い、卵から孵った後は幼虫→さなぎ→成虫の順で成長していきます。成長過程でそれぞれ役割が決まっており、幼虫は餌をたくさん食べて大きくなる期間、さなぎは体の形を大きく変化させる期間、成虫は繁殖する期間となってます。成虫になると全く餌を食べずに交尾と産卵に専念する昆虫もいます。
・完全変態で幼虫と成虫では生活環境が大きく異なります。
カブト虫の場合、幼虫は土の中で朽木や腐葉土を餌にしますが、成虫は木の上で樹液を餌に生活します。
・幼虫は食べ物が豊富なところで食事に専念して、成虫は別な場所で産卵します。
この時、産卵場所が今までと違う環境でそこに幼虫が適応できれば、新種の誕生に繋がります。これが、長年続いて繁栄してきました。
・幼虫から脱皮を繰り返し、翅が伸びて成虫になります。
幼虫と成虫に大きな違いがなく、サナギの期間はありません。
○半変態(トンボ等)
・サナギの期間はなく、見た目や生活環境が違います。
トンボの場合は、幼虫の期間は水中で生活して、成虫は陸上で生活します。
○ 漸変態(読み方→ぜんへんたい)(カメムシ等)
・サナギの期間がなくて、幼虫と成虫では大きな変化はありません。
○無変態(シミ等 原始的な昆虫)
・成長に伴う性成熟以外の変態を一切行いわない変態です。
このように幼虫と成虫の期間で役割と生息環境を変化させることによって、昆虫は繁栄してきました。
身近な昆虫たちは実は3億年以上前から地球上に存在していて、色々な環境に適応して繁栄していたんですね。
昆虫について調べると毎回、小さな生き物のすごい能力に驚いています。
次回はアリか昆虫はどうやって飛んでいるのかについて書いていこうと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
昆虫 信じられない能力に驚く本: 小さな生き物たちの大胆な生き方とは (KAWADE夢文庫)
- 作者: ライフサイエンス研究班
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2017/06/19
- メディア: 文庫
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昆虫の定義と繁栄の秘密
11月も後半に入り寒くなってきて昆虫を見ることがなくなったけど、このブログでは時々虫のすごいところを紹介していきます。
最近気が付いたのですが、昆虫をテーマにしてるのにそもそも昆虫ってどんな生き物なのかということを紹介していませんでした。そこで、今回は昆虫ってどんな生き物でなんで身の回りにたくさんいるのかということを書いていきます。
この記事を作るために参考した本は・・・
ライフ・サイエンス研究班〔編〕昆虫信じられない能力に驚く本
丸山宗利 著 昆虫はすごい
野澤雅美 著 おもしろ生態と上手な付き合い方 カメムシ
の三冊です。記事の最後にリンクを貼りますので興味がある方はご購入下さい。
さて、本題ですが昆虫ってどんな生き物なのか・・・
生物学的な分類では、動物界 節足動物門 汎甲殻類 六脚亜門 昆虫綱 っていう風に分類されます。
ここから更に20個の「目(読み方→もく)」に分類されて、昆虫の全種を合わせると約100万種になります。でも、毎年3,000種の新種が確認されているため実際には500万〜1,000万種の昆虫がいるとも言われております。
数冊昆虫関連の本を読みましたが本とか学者さんによって種数に多少の違いはありました。
また、20個の目のうち、甲虫目(カブトムシやコガネムシ等)が約37万種、ハエ目(ハエやカ等)が約15万種、チョウ目(チョウやガ等)が約14万種、ハチ目(ハチやアリ等)が約13万種となっており、これら4目だけで昆虫100万種の約80%を占めています。
春とか夏になると虫がたくさん出てくるように感じるけど、普段見ている昆虫のほとんどはこの4目に集約されるのかも知れないですね。
ちなみに、現在地球上の全動物種(植物とか菌類は除く)は約130万種以上生息していて、そのうちの約3/4を昆虫が占めているので、どこにいても昆虫を見かけるわけですね。
地球上に生息している約130万種の生物の内訳の一部は、軟体動物(イカ、タコ、アサリ等)が約8万種、甲殻類(エビやカニ等)が約4万種、鳥類(スズメ、ワシ、ハト等)が1万種となっており他にも哺乳類とか両生類とかもいます。水中の生き物の方が陸上の生き物より多い感じがあります。
漫画「テラフォーマーズ」で主人公の膝丸燈(ひざまる あかり)が14話の最終ページで火星にいるゴキブリに対して「125万種の生命の炎が燃え盛る『地球』を嘗めるなよ」って怒りを込めて言ってるけど、こうやってブログのために生物について調べると生き物の生存の知恵と能力には驚かされます。
ここまでは、昆虫の分類とかどのくらい種数がいるかを見てきました。
次は昆虫の見た目はどんなものかについて見ていきましょう。
冒頭の分類の中に節足動物門とありましたが、これは足が節状になっていて外骨格の動物の仲間ということです。外骨格っていうのは、体の外側を骨組みになる硬い外皮で覆っていて、内側に筋肉がある動物のことです。具体的にはエビとかカニといった生き物です。
他には体が『頭部』『胸部』『腹部』の3つのパーツに分かれていて、胸部から3対=6本の脚が出ている虫のことを昆虫といいます。
『頭部』『胸部』『腹部』の3つのパーツについては、記事の最初にあるスズメバチのイラストの3色の枠がそれぞれのパーツに対応しています。
緑枠が頭部、青枠が胸部、赤枠が腹部って感じです。
親しみやすいイラストを使っているので本物のスズメバチとは口と目の位置が違いますけど、それぞれのパーツの区分けはこん感じです。
本当は、頭部・胸部・腹部の役割やなぜ昆虫は繁栄したのかも書きたいのですが文字数が多くなってきたので今回はこの辺で終了にします。また、近いうちに続きを書きますのでもし宜しければご覧下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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虻に刺されるとかなり痛いよね?その2
前回の記事では『エリカ・マカリスター著 蝿たちの隠された生活』より、虻に刺されるとなぜ痛いのかといういことと、なぜ血を吸う必要があるのかを投稿しました。
前回の記事はこちらです。↓
虻に刺されると、かなり痛いよね? - 『この虫ケラが!!』とは言わせないよ
でも、ハエの本になぜアブのことが書かれているのか不思議に思いませんか?
ハエとアブは見た目が似てるから同じ括りな気がしますが、まさにアブはハエと同じ括りの双翅目(ハエ目)に属している昆虫なんですよー。
双翅目は漢字の通り、翅が二枚の昆虫でハエとかアブの他には蚊とかガガンボとかユスリカとか身近にたくさんいるんですよね。
双翅目の昆虫が何種類くらいいるのかっていうと2018年時点で発見されているだけで16万種、未発見の種は推定で16万種‼︎
発見されているだけで16万種もいるんだから、家の中とか屋外とかでたくさん見かけるわけだよ。
別な説としてはカナダのハエ研究者 スティーヴ・マーシャルさんは双翅目は40万〜60万種いるって推定してるんだけど、100万種以上いる昆虫の半分前後を双翅目が占めているんだから、普段見かける昆虫のほとんどがハエの仲間に見えてしまう。
こんなに沢山の種類がいる双翅目の中で、アブ科の昆虫は何種類いるのか?
その数は4,400種超‼︎
普段、見かける虻の仲間が4,400種以上もいるなんて思いもしなかった。アブだけで図鑑が出来ちゃうかもれない。
もしかしたら、パッと見ただけだとアブだと分からない虫もいるかも・・・
そもそもアブの体にはどんな特徴があるのか?
☆アブの特徴☆
・肉厚で頑丈な体つき
・目には縞とか四角、三角、丸、波形とかの模様が入っている
模様は複眼の外側の層の角膜にカラーフィルターのようなものがあり、角膜が異なる波長の光を別々に反射しているから、角度を変えると色が変わる。
アブの目を間近で見たことはないけど、本に載っているゴマフアブとメクラアブの写真を見たら本当に綺麗な模様をしていました。体については頑丈そうな感じはありますね。
食べ物の好みも属によって違っていて、例えばゴマフアブ属は人間の腰の高さを狙うし、メクラアブ属は頭の高さを狙います。
この両方のアブのメスは食欲旺盛で、アメリカのアブ研究者コーネリウス・B・フィリップによると20〜30匹のアブに6時間かけて血を吸わせると100mlの血液が失われるということです。
この量の出血で大人の命に関わることはないけど、小さな虫が集まって時間をかけると大量に血を吸われれるんですね。
ゴマフアブについて調べたら北海道に生息しているってことだから今年も遭遇していたのかもしれない・・・
昆虫のことをよく知らないと見かけても何気なく『ハエだ!』とか『うわっ!アブが出た!』としか思わないけど、少しずつ調べていくと一括りで認識している昆虫たちのそれぞれの生き方がわかったり、各種の識別が出来るようになって面白いですね。
最近、一匹のアリを指先でツンツンしようとして指を出したり引っ込めたりして結局、触れずに諦めました。アリを触れないほど昆虫が苦手っていうことは変わってないですけど、昆虫を観察することに抵抗感が薄れてきました。
虫の本を読むようになってから、一匹の昆虫に対してどうやって生きているのか・どんな形なのかっていうことに興味を持てるようになってきました。まだ、群れを観察することはできませんが・・・
注文していたアリとかカブト虫の本が届いたので、次回はその本の中から興味深かったところを投稿するかも知れません。
最後までお付き合いありがとうございました。
虻に刺されると、かなり痛いよね?
写真はウシアブ 『ご近所の小さな生き物たちフォト』
約2ヶ月ぶりの更新だーー
夏になると蚊とか虻とか蜂とか刺す虫がたくさん出てきて嫌ですよね。
特にこの時期はお盆が近いのでお墓参りに行くと墓地を虻がブンブン飛んでいて、刺されるんじゃないかとヒヤヒヤしちゃいます。
でも、蚊は刺されても痛くないのに虻に刺されたらなんで痛いんだろうって疑問に思ったことありませんか?
僕のこの疑問に答えてくれた一冊が『エリカ・マカリスター著 蠅(ハエ)たちの隠された生活』っていう本です。
エリカ先生のハエに対する愛情が詰まった本なんですよー。冒頭部分では『体のつくりに美を感じる』とか『カラフルな体は光を受けメタリックな輝きを見せ、翅(はね)はまるで真珠のような光沢を帯びた薄いヴェール』という感じで冒頭の1ページ目からハエに対する愛情満載で書かれています。
この本を読むまでは、ハエは『汚い虫』とか『自分の周りを飛び回るうるさい虫』としか感じていなかったのが、読んだあとはエリカ先生ほどハエを愛することは出来ないけど不快感がちょっとした好奇心に変わりました。
さて、本題の『虻に刺されるとなぜ痛いのか』っていうことですけど、血を吸う口が刺すと痛い形をしているんですよー。蜂と違って虻が刺すのは血を吸うためなので、蜂のようにお尻の針で刺すのではなくて口で噛むんです。
血を吸いたいところを噛んで、傷口から滲み出てきた血を吸うっていう方法をとっているから痛いんですよね。
そうすると虻の口にも肉食動物みたいな牙が付いているかっていうと、牙はついてないんです。
虻の口は先を鋭く研いだ刃物のような形をしていて、それを使って皮膚を切り裂くから痛いんです。
だから、虻に『刺された』って言うより『噛まれた』とか『切られた』って言う方が正確かも知れないですね。
虻が血を吸うのってオスとメスのどっちでしょうね?
虻も蚊と同じように血を吸うのはメスだけなんですよ。
メスには『産卵』という大切な役割がありますからね。虻の種類にもよるけど、アブ属とかキボシアブ属は1回の産卵で約500個の卵を何層か重ねて産むから大量の栄養が必要になりますよね。
その大事な栄養素っていうのが、タンパク質!!
卵を育てるのに必要なタンパク質は自然界には少なくて、草食の場合だと草には36%しかタンパク質が含まれていないからたくさん食べる必要がある上に、消化するのが大変で吸収するのにも時間がかかるから草食の道には進まなかったんでしょうね。
他の昆虫を食べた場合だと、昆虫の種類にもよるけど13〜77%のタンパク質を含んでいるから、タンパク源としては悪くないと思うけど、虻は昆虫食の道にも進みませんでした。
そうすると虻が大好きな哺乳類の血液にはどれだけのタンパク質が含まれているのか?
哺乳類の赤血球の96%がヘモグロビンとタンパク質で出来ているから、最高のタンパク源なんですね。赤血球にこんなにタンパク質が含まれていることをしったら他の物をタンパク源にしようとはなかなか思わないですよね。
メスが血を吸うのは、卵を産むためだろうなとは思ってたけど草とか他の昆虫よりも赤血球の方が多くのタンパク質を含んでいるっていことを知ってからは、子孫を残すために血液を狙うのは当然だろうなって感じですよね。
日本でも虻に噛まれると痛いとか痒いということで、虻は嫌だなと感じることがある思いますが、中南米では痛みとか痒さに加えて恐ろしい物を運んでくるということで嫌がられているんですよ。
その恐ろしいものっていうのが、ヒトヒフバエの卵!!
この卵がなんで恐ろしいのか?卵の運搬ルートを見てみるとわかるかも知れません。
☆ヒトヒフバエの卵の運搬ルート☆
①ヒトヒフバエのメスが中間宿主の虻の背中にまとめて卵を産む
②虻が血を吸うために人の上に降りると、虻の背中から人の皮膚に卵が落ちる
③最終宿主の人間の体温で卵が孵る
④幼虫たちが人間の皮膚を食い破って体内に侵入する
虻に血を吸われて痛くて痒い上に、全然知らない虫に皮膚を食い破られるって悲惨ですね(泣)
本にはヒトヒフバエの写真とか詳しい説明はないので、体内に侵入したらどうなるかは分かりませんが
恐ろしいですよね。
お盆休みや夏休み中に中南米へ行く際には、虻にはお気をつけください。
国内にいても虫にされれたら痒くなったり、傷口からばい菌が入ったりするので長時間外にいたり山に行ったりする場合はお気をつけください。
本当はもう少し書きたいですが、長くなってしまったので続きは次回にします。
最後までお付き合いありがとうございました。
カブト虫の体ってなんで黒いのかな?その2
前回の記事でカブト虫の体の硬さと色についてはクチクラがキノン硬化しているから、黒くて硬いという内容でした。
今回はクチクラの構造について掘り下げていくよー。
今回の記事も前回と同じく『本川雄著 ウニはすごいバットもすごい』っていう本からの投稿だよ。
クチクラは三層構造になっていて、表面から『上クチクラ』→『外クチクラ』→『内クチクラ』っていう風に重なっていて、上クチクラは更に三層になっているんだけど、この小さい体でこんなに複雑な構造ってすごくない?
上クチクラは三層構造は上から内側に向かって『セメント層』→『ワックス層』→『クチクリン層』ってなっていて、上クチクラの主な働きは2つあるんだよ。
1つ目が体の水分の蒸発を防ぐこと
2つ目は化学物質やバクテリア、菌類の侵入をブロック
言い換えれば『化学的バリア』を担っているのが上クチクラの部分だね。
もともと生物は海にいて、陸上に来た時の一つの問題が体からの水分蒸発だったから、うまいこと適応してるよね!
しかも、この重要な化学的バリアをしている部分の厚さが1/1,000mmっていう極薄でやっちゃうから、驚きだよね!
三層になっている上クチクラの各層の働きが・・・
セメント層→ワックス層を覆って保護すること
ワックス層→水を弾いて水を通さない防水の要!
クチクリン層→クチクラが出来る時に、最初に出来る層でクチクリンっていうタンパク質で出来ている
あっ!確かに虫が多少雨に濡れても水を弾いてる感じがあるもんね。
ワックス層ってかなり超重要じゃない?ここがなかったら雨水とか水溜りに落ちた時にジャブジャブと水が入ってきて体の中がグチャグチャになりそうだね。
ワックス層がなかったら防水効果が切れた雨合羽を着て、雨に打たれる感じかも。
化学的バリアを担っている上クチクラに対して『物理的バリア』を担っているのが、外クチクラと内クチクラの二つ。
『物理的バリア』っていうは昆虫が歩いたり飛んだり走ったりっていう激しい運動をしても、体がバラバラにならないように頑丈にしているっていうことだね。
前回の記事でも触れたけど外クチクラと内クチクラは元は表皮細胞から分泌された『原クチクラ』っていう一つのもので、原クチクラの外側だけがキノン硬化して硬くなるんだよね。
構造がベニヤ板みたいで繊維+基質で出来ている複合材料なんだよ。
クチクラの繊維を一定方向に揃えて基質に埋めた薄板状の物を、何枚も繊維の方向を変えて重ねているから、どの方向に曲げたり引っ張ったりしても体が壊れにくいんだね!
確かに同じ方向に繊維を揃えていたら、さけるチーズみたいにすぐに体が真っ二つになっちゃうもんね。
虫のクチクラって頑丈で軽いから人工的に生成できたら、車とか飛行機とか身近な物の原材料として幅広い使い方が出来そうだけど、作れないのかな?
昆虫って人間から見ると小さくて弱かったり、不快に感じることがあるけど人間が誕生する前から地球に生息していて、色々な環境に適応して繁栄しているから知れば知るほど頭が上がらなくなるんだよね。
虫は嫌いで触れないけど、知れば知るほど簡単に駆除できなくなっていることに最近気付いてきた。
次回は蝿への愛情を感じ取れる『エリカ・マカリスター著 蠅たちの隠された生活』を題材に書こうかな?
ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学 (中公新書)
- 作者: 本川達雄
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カブト虫の体ってなんで黒いのかな?
夏になるとホームセンターで売られていたり、キャンプ場とか山が近い住宅地とかに出てくるカブト虫について『カブト虫とかクワガタの体って何で黒くて硬いのかな?』って思ったことある?
色と硬さについて説明してくれているのが『本川達雄著 ウニはすごいバッタもすごい』っていう本。
この本は昆虫の硬さの他にも『ヒトデは何で星型なのか?』とか『ホタテとかアサリが殻を閉じると長時間すごい力で殻を閉じ続けていられるのは何でか?』とかっていうことも教えてくれているから、かなり面白い一冊で何回も読み返したくなるんだよねw
本題の『カブト虫の体は何で黒くて硬いのか?』っていうことの答えは、昆虫とかの無脊椎動物の体を作っている外骨格のクチクラがキノン硬化で黒くなっているから。
あーーー聞いたことない言葉がたくさん(泣)
大まかに説明すると・・・
無脊椎動物→背骨を持たない動物(虫、昆虫、貝類、イカ、タコとか・・・)
外骨格→体の表面が硬くなったもの(昆虫、カニ、エビとか・・・)
人間とかの哺乳類は体の内側に骨があるから内骨格の生物
今回の色と硬さで大事になってくるのが『クチクラ』と『キノン硬化(タンニング)』の二つ。
クチクラ→有機物(多糖類とかタンパク質)で作られている昆虫とかの無脊椎動物の外骨格。
有機物っていう複雑な分子を使って作るから、エネルギーをたくさん使うっていうデメリットはあるけど、昆虫たちの繁栄に欠かせない大きなメリットもあるんだよね。
そのメリットが・・・
軽くて、丈夫で、高機能!
昆虫の脚を見るとかなり細くない?あの細さで歩いたり走ったり。
カブト虫だと餌場の争いで角を使って相手を投げ飛ばす時に、自分の重さに加えて相手の体重も支えて更に投げ飛ばす力も加わるからかなりの重さがあるのに脚が折れないんだよ!
昆虫の羽を見ても、向こう側が透ける薄さで自分の体を浮かせて自由に飛び回っちゃうからすごいよねー!例えは少ないけど、これら全部クチクラでやってるんだよ。
でね、『クチクラ』って皮膚を意味するラテン語が語源になっていて、英語だと『キューティクル』って言うんだけど、『キューティクル』ってシャンプーとかのCMで聞いたことあるよね?
体の表面を覆っている薄くて硬い膜状の物はなんでもクチクラっていうんだよ。
だから、植物にもクチクラはあるんだよねー
昆虫のクチクラは三層構造になっているんだけど、その構造については長くなりそうだから次回のブログに書くね。
あとはクチクラを硬くする『キノン硬化』のお話し。
三層構造になっているクチクラの上から二層目と三層目は、元は『原クチクラ』っていう一つの物なんだよ。それのうち外側にキノンっていう化学物質がクチクラの基質を作っているタンパク質の分子の間に橋を架けて、変形しにくくしているから硬くなるんだよね。
この架橋する時に水分が失われるからこれも硬さを増す一因になっているんだよ。
キノン硬化はタンニングとも言われていて、『タン』は日焼けで褐色になること指しているんだよ。
キノンで架橋するとその部分が茶褐色に色付くから『タン』なんだね。
クチクラって本来は白色で硬さを増すごとに薄茶色→茶色→黒っぽい茶色→黒っていう順に色が濃くなっていくから、カブト虫の体は黒くて硬くなるんだねー。
カブト虫の種類にもよると思うけど写真のカブト虫は黒に近い茶色だね。
僕は触れないけどカブト虫の幼虫って頭の先端以外は白色で頭の先端は黒に近いよね?
ということは幼虫の体は柔らかくて頭は硬いんだね。触った人の感想だとやっぱり体はプヨプヨしてるんだって。これがキノン硬化前のクチクラの本来の色と感触なんだ!
先端の黒については餌が腐葉土とか朽木だから、ある程度の硬さがないと餌を食べられないから硬くなってるのかな?
本の中ではシロアリを例にして硬さと色付きについて説明してたけど、シロアリを見たことがなくて実感がわかないからカブト虫にしてみた。
ちなみにシロアリはアリの仲間じゃなくて、ゴキブリの仲間なんだよね。
もし、内容に間違いがあれば教えてください。
次回はクチクラの三層構造に書いていこうかな?
ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学 (中公新書)
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インフルエンザにかかったとありますか?
前回の投稿からかなりの時間があいてしまった>_<
昨年の年末にインフルエンザにかかってしまい、これで人生3回目の感染。
3回も感染するとインフルエンザウイルスは普段どこに住んでいて、どうやって生きているのか気になって、細菌とかウイルス関係の本を読んでみて面白かったから記事にしてみたー
今回の内容は『ウイルス・細菌の図鑑 感染症がよくわかる重要微生物ガイド』を元に書いていきます。
一番気になっていたインフルエンザウイルスの住処は鳥のカモの中なんだって!普段は空気中に漂っていると思っていたからかなり意外だった。
しかも、144あるA型インフルエンザの亜型全てにカモが感染していて体内で増殖してるってかなり驚いた。増殖するけど変異しないから人間みたいな症状は発症しないのかな?感染したカモが人間みたいな症状になるのかとか、カモから人間にどうやって感染するのかとかは書いていなかったら、他の本も読んでいこう。
インフルエンザのA型とB型はニュースとかで感染者が出ましたって聞くけど、C型はないのかっていうと実はC型もあるんだよねー。
C型に感染する人の大多数は幼少期に感染していて、鼻水が普段の風邪よりも多く出る程度で軽い症状だから感染していることに気付かないことが多いんだよ。
インフルエンザって1890年(明治23年)には日本に上陸しいて当時からカタカナで『インフルエンザ』って表記されていたからかなり昔から日本にいたんだね。この本の冒頭にその時の様子を描いた絵が掲載されていて『はやり風用心』っていうタイトル。
絵の左側に繁盛している薬屋・医者・按摩(マッサージ)と右側に閑散としている銭湯と床屋さんが描かれてていて、迷信に対する批判と医学的知識の啓蒙をしているんだって。絵の上には当時の文字で色々と説明が書いてあるけど、行書体だから読めなかった(>_<)
按摩が繁盛するってことは感染すると節々が痛くなるから揉んで楽にしてもらおうってことなのかな?
節々が痛くなるのは昔から同じんだね。
今回はインフルエンザについて書いたけど他にも発ガン性ウイルスとか性感染症とかウイルス性出血熱とかについて写真とか図を使って広く浅く解説されているから、ウイルス・細菌関連に興味があるっていう時にはこの本はいいかも。
所々で疑問に思ったことの解説がないところもあったけど、この分野に興味を持つきっかけになったから読んでよかったー
本を読んでもインフルエンザの予防はできないから、手洗い・うがい・睡眠・予防接種で来年は感染しないように気をつけよう
ウイルス・細菌の図鑑 ~感染症がよくわかる重要微生物ガイド (知りたい! サイエンス イラストレーテッド)
- 作者: 北里英郎,原和矢,中村正樹
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2015/12/22
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