カブト虫の体ってなんで黒いのかな?その2
前回の記事でカブト虫の体の硬さと色についてはクチクラがキノン硬化しているから、黒くて硬いという内容でした。
今回はクチクラの構造について掘り下げていくよー。
今回の記事も前回と同じく『本川雄著 ウニはすごいバットもすごい』っていう本からの投稿だよ。
クチクラは三層構造になっていて、表面から『上クチクラ』→『外クチクラ』→『内クチクラ』っていう風に重なっていて、上クチクラは更に三層になっているんだけど、この小さい体でこんなに複雑な構造ってすごくない?
上クチクラは三層構造は上から内側に向かって『セメント層』→『ワックス層』→『クチクリン層』ってなっていて、上クチクラの主な働きは2つあるんだよ。
1つ目が体の水分の蒸発を防ぐこと
2つ目は化学物質やバクテリア、菌類の侵入をブロック
言い換えれば『化学的バリア』を担っているのが上クチクラの部分だね。
もともと生物は海にいて、陸上に来た時の一つの問題が体からの水分蒸発だったから、うまいこと適応してるよね!
しかも、この重要な化学的バリアをしている部分の厚さが1/1,000mmっていう極薄でやっちゃうから、驚きだよね!
三層になっている上クチクラの各層の働きが・・・
セメント層→ワックス層を覆って保護すること
ワックス層→水を弾いて水を通さない防水の要!
クチクリン層→クチクラが出来る時に、最初に出来る層でクチクリンっていうタンパク質で出来ている
あっ!確かに虫が多少雨に濡れても水を弾いてる感じがあるもんね。
ワックス層ってかなり超重要じゃない?ここがなかったら雨水とか水溜りに落ちた時にジャブジャブと水が入ってきて体の中がグチャグチャになりそうだね。
ワックス層がなかったら防水効果が切れた雨合羽を着て、雨に打たれる感じかも。
化学的バリアを担っている上クチクラに対して『物理的バリア』を担っているのが、外クチクラと内クチクラの二つ。
『物理的バリア』っていうは昆虫が歩いたり飛んだり走ったりっていう激しい運動をしても、体がバラバラにならないように頑丈にしているっていうことだね。
前回の記事でも触れたけど外クチクラと内クチクラは元は表皮細胞から分泌された『原クチクラ』っていう一つのもので、原クチクラの外側だけがキノン硬化して硬くなるんだよね。
構造がベニヤ板みたいで繊維+基質で出来ている複合材料なんだよ。
クチクラの繊維を一定方向に揃えて基質に埋めた薄板状の物を、何枚も繊維の方向を変えて重ねているから、どの方向に曲げたり引っ張ったりしても体が壊れにくいんだね!
確かに同じ方向に繊維を揃えていたら、さけるチーズみたいにすぐに体が真っ二つになっちゃうもんね。
虫のクチクラって頑丈で軽いから人工的に生成できたら、車とか飛行機とか身近な物の原材料として幅広い使い方が出来そうだけど、作れないのかな?
昆虫って人間から見ると小さくて弱かったり、不快に感じることがあるけど人間が誕生する前から地球に生息していて、色々な環境に適応して繁栄しているから知れば知るほど頭が上がらなくなるんだよね。
虫は嫌いで触れないけど、知れば知るほど簡単に駆除できなくなっていることに最近気付いてきた。
次回は蝿への愛情を感じ取れる『エリカ・マカリスター著 蠅たちの隠された生活』を題材に書こうかな?
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